開催趣旨

 自己組織化は、様々な現象における自律的な秩序形成の過程であり、その結果としてとして特徴的なパターンや構造が現れる。各現象を特徴づけていることから、自己組織化は重要な固有情報で、幅広い理工学分野の研究者の研究対象となっている。一方で、物理実験、数理モデル、数値シミュレーション、解析などの各専門家の技術が必要なために自己組織化の研究は容易ではないこともしばしばである。本セミナーにおいて、様々な非線形現象に対して多様なアプローチをされている研究者をお招きし、その講演を通して分野横断的な知見や手法を共有する。

キーワード:自己組織化、物理実験、数理モデリング、数値シミュレーション、数理解析、データサイエンス、変分原理。


第3回


  • 日時:2024年3月28日(木)−29日(金)
  • 場所:しいのき迎賓館3階セミナールームB
       (〒920-0962 金沢市広坂2丁目1−1号)
  • 地図:Google Map

講演者


  • 土井正男(中国科学院大学)
  • 中垣俊之(北海道大学)
  • 渡部大志(中部大学)

プログラム


3月28日(木)

(10:00–12:50 フリーディスカッション・昼休憩)
12:50–13:00 開会・事務連絡
13:00–15:00 土井正男(中国科学院大学)
  • Diffusio-mechanical coupling in viscoelastic materials   -- An application of Onsager principle --
15:00–15:30 ディスカッション
15:30–17:30 渡部大志(中部大学)
  • 拘束条件付き自己組織化現象による神経系の機能分化
17:30–18:00 ディスカッション


3月29日(金)

10:00–12:00 中垣俊之(北海道大学)
  • TBA
12:00–12:10 閉会・事務連絡
(12:10–16:00 昼食・フリーディスカッション)



 後援


 幹事



開催済みの情報


第2回


  • 日時:2023年9月14日(木)9:50−18:10
  • 場所:しいのき迎賓館3階セミナールームA
       (〒920-0962 金沢市広坂2丁目1−1号)
  • 地図:Google Map

講演者


  • 西浦廉政(北海道大学/東北大学)
  • 奥田 覚(金沢大学)
  • 瀧健太郎(金沢大学)
  • 木村正人(金沢大学)
  • 野津裕史(金沢大学)

プログラム


09:50–10:00 開会・事務連絡
10:00–11:30 西浦廉政
  • 不安定性の組織中心をめぐって(Part 2)
11:30–13:00 昼休憩&ディスカッション
13:00–14:30 瀧健太郎
  • 二軸混練押出機内の流動に関する実験と数値解析(Part 2)
14:30–15:00 休憩&ディスカッション
15:00–16:30 奥田 覚
  • 力学不安定性が引き起こす上皮細胞の脱離と多層化の仕組み(Part 2)
16:30–17:00 休憩&ディスカッション
17:00–17:30 木村正人
  • 様々な破壊現象に対するフェーズ・フィールド・モデリング
17:30–18:00 野津裕史
  • 粘弾性流体の数値シミュレーション
18:00–18:10 閉会・事務連絡


アブストラクト

T. = タイトル、A. = アブストラクト

  1. 西浦廉政(北海道大学/東北大学)
    T. 不安定性の組織中心をめぐって(Part 2)
    A. 複雑なダイナミクスや形態を退化した不安定点から見るというのは、新たな視点を提供してくれると思われる。退化し、かつ対称性の高い不安定状態(組織中心)は、うまく見つかればそこから芋蔓式に多様な状態遷移が起こり、結果として新たなダイナミクスや形態の発見につながる。そのような都合の良い不安定状態はアプリオリには同定できない。しかしサドル探索の数値解法は近年発展してきており、同時に問題の背景から全く勝手なものは候補になり得ないので、不十分ではあるが、ある程度まで探索可能となりつつある。今回の話はナノポリマー微粒子の形態問題を例にとり、この問題を考えたい。
     モデル方程式は Cahn-Hilliard 型の連立方程式であり、ナノ微粒子の形状 u とその中でのミクロ相分離秩序変数 v を未知関数とする4階の連立方程式である。これはいわゆる自由エネルギーを有するので、そのエネルギー風景の大域的記述が大きな問題となる。実際非常に多数の local minimizer が存在し、パラメータサーチは容易ではない。実験で得られるものはそのごく一部であり、また大きなベイズンを持つものだけが実験で常に観察されるというわけでもない。その意味で組織中心は重要な役割を果たすと期待されるが、その試みは始まったばかりである。何が問題であるかを中心に議論したい。サドル探索の可能性、また圧力や初期濃度設定など実験設定をモデル方程式にどう反映させるかについても触れる予定である。

  2. 瀧健太郎(金沢大学)
    T. 二軸混練押出機内の流動に関する実験と数値解析(Part 2)
    A. 本講演では、同方向回転噛合い型平行二軸押出機内の樹脂の流動に関して、筆者らがこれまで取り組んできた実験及び数値解析方法について説明する。特に飢餓状態で運転される二軸押出機内部の自由界面の測定法と充満プロファイルの数値計算方法について説明する。また、音響放出センサを利用したガラス繊維の破断やペレットの可塑化を現象の評価法や数値計算法について説明する。

  3. 奥田 覚(金沢大学)
    T. 力学不安定性が引き起こす上皮細胞の脱離と多層化の仕組み(Part 2)
    A. 上皮組織は、ヒトを含む動物の器官を作る主要な構造要素である。本研究では、器官の形成、代謝、疾患の鍵となる細胞脱離と多層化について、数値解析と生物学実験から得られた力学的な理解を紹介する。

  4. 木村正人(金沢大学)
    T. 様々な破壊現象に対するフェーズ・フィールド・モデリング
    A. 様々な環境下での破壊現象に対するフェーズ・フィールド・モデル構築の取り組みについて紹介を行う。我々のグループでは、1) Francfort-Marigo (1998)による変分型破壊理論、2) Ambrosio-Tortorelli (1992)による亀裂のフェーズ・フィールド近似、3) Akagi-Kimura (2019)による不可逆型勾配流、に基づき、準静的脆性破壊現象に対する勾配流型フェーズ・フィールド・モデルを構築してきた。最近では、はんだなどの熱応力破壊、水素脆性破壊、粘弾性体の破壊現象、乾燥破壊、水圧破砕、などに拡張を行ってきている。本講演の内容は、田中良巳氏(金沢学院大学)、高石武史氏(武蔵野大学)、Sayahdin Alfat氏(Halu Oleo大学/金沢大学)との共同研究に基づく。

  5. 野津裕史(金沢大学)
    T. 粘弾性流体の数値シミュレーション
    A. 粘弾性流体の構成方程式には、しばしば上対流微分と呼ばれる特徴的な微分作用素が現れる。上対流微分はラグランジュ座標を用いて表現可能であり、また、同表現から自然な数値解法が得られる。その導出と有限要素法による数値計算結果を紹介する。本講演は、唐澤佑樹氏(金沢大学)、中澤嵩氏(金沢大学)、D.O. Medeiros氏(Universidade Estadual Paulista)、C.M. Oishi氏(Universidade Estadual Paulista)との共同研究に基づいて行われる。


第1回


  • 日時:2023年7月3日(月)13:00−17:30
  • 場所:しいのき迎賓館3階セミナールームA
       (〒920-0962 金沢市広坂2丁目1−1号)
  • 地図:Google Map

講演者


  • 基調講演:西浦廉政(北海道大学/東北大学)

  • 奥田 覚(金沢大学)
  • 榊原航也(金沢大学)
  • 瀧健太郎(金沢大学)
  • 八柳祐一(金沢大学)

プログラム


13:00–13:05 開会
13:05–14:00 基調講演:西浦廉政
  • 不安定性の組織中心をめぐって
14:00–14:10 休憩&ディスカッション
14:10–14:50 瀧健太郎
  • 二軸混練押出機内の流動に関する実験と数値解析
14:50–15:00 休憩&ディスカッション
15:00–15:40 奥田 覚
  • 力学不安定性が引き起こす上皮細胞の脱離と多層化の仕組み
15:40–15:50 休憩&ディスカッション
15:50–16:30 八柳祐一
  • 絶対温度が負となる2次元点渦系での構造形成
16:30–16:40 休憩&ディスカッション
16:40–17:20 榊原航也
  • 移動境界問題の数理解析
17:20–17:25 閉会


アブストラクト

T. = タイトル、A. = アブストラクト

  1. 西浦廉政(北海道大学/東北大学)
    T. 不安定性の組織中心をめぐって
    A. 複雑なダイナミクスや形態を退化した不安定点から見るというのは、新たな視点を提供してくれると思われる。退化し、かつ対称性の高い不安定状態(組織中心)は、うまく見つかればそこから芋蔓式に多様な状態遷移が起こり、結果として新たなダイナミクスや形態の発見につながる。そのような都合の良い不安定状態はアプリオリには同定できない。しかしサドル探索の数値解法は近年発展してきており、同時に問題の背景から全く勝手なものは候補になり得ないので、不十分ではあるが、ある程度まで探索可能となりつつある。今回の話はナノポリマー微粒子の形態問題を例にとり、この問題を考えたい。
     モデル方程式は Cahn-Hilliard 型の連立方程式であり、ナノ微粒子の形状 u とその中でのミクロ相分離秩序変数 v を未知関数とする4階の連立方程式である。これはいわゆる自由エネルギーを有するので、そのエネルギー風景の大域的記述が大きな問題となる。実際非常に多数の local minimizer が存在し、パラメータサーチは容易ではない。実験で得られるものはそのごく一部であり、また大きなベイズンを持つものだけが実験で常に観察されるというわけでもない。その意味で組織中心は重要な役割を果たすと期待されるが、その試みは始まったばかりである。何が問題であるかを中心に議論したい。サドル探索の可能性、また圧力や初期濃度設定など実験設定をモデル方程式にどう反映させるかについても触れる予定である。

  2. 瀧健太郎(金沢大学)
    T. 二軸混練押出機内の流動に関する実験と数値解析
    A. 本講演では、同方向回転噛合い型平行二軸押出機内の樹脂の流動に関して、筆者らがこれまで取り組んできた実験及び数値解析方法について説明する。特に飢餓状態で運転される二軸押出機内部の自由界面の測定法と充満プロファイルの数値計算方法について説明する。また、音響放出センサを利用したガラス繊維の破断やペレットの可塑化を現象の評価法や数値計算法について説明する。

  3. 奥田 覚(金沢大学)
    T. 力学不安定性が引き起こす上皮細胞の脱離と多層化の仕組み
    A. 上皮組織は、ヒトを含む動物の器官を作る主要な構造要素である。本研究では、器官の形成、代謝、疾患の鍵となる細胞脱離と多層化について、数値解析と生物学実験から得られた力学的な理解を紹介する。

  4. 八柳祐一(金沢大学)
    T. 絶対温度が負となる2次元点渦系での構造形成
    A. 1949年にOnsagerが提唱した絶対温度が負となる系の一つとして2次元点渦系がある。講演では負温度をキーワードとして,点渦系の運動論的方程式について数値的/解析的結果の紹介を行う。

  5. 榊原航也(金沢大学)
    T. 移動境界問題の数理解析
    A. 本講演では、時々刻々と変化する界面ダイナミクスを記述する移動境界問題の安定な数値計算のための構造保存型数値解析手法について、講演者による今までの成果を概説する。また時間が許せば、現在進行中の研究内容にも触れたい。